実際に課題が出されたとき、そのテーマは一体どのようなものなのか、そしてどのような方向に調べを進めるのかを考え、はっきりさせましょう。
また、自由テーマによるレポート作成の場合には、大まかなテーマを考えてもよいですが、少し資料を調べてから具体的にテーマをしぼったほうがよいでしょう。きちんと具体的なテーマを定めたほうが、調査も進めやすいですし、レポートとしてのまとめもしやすいでしょう。
(例) 「環境問題」→「地球温暖化」→「オゾンホール」 「地域研究」→「新宿」→「新宿と甲州街道」 「歴史研究」→「新撰組」→「土方歳三の生涯」 |
レポート作成に必要な情報を手に入れる方法はたくさんあります。どの方法が自分のテーマに適しているか、考えてみましょう。実際に利用することにした情報源、すなわち図書館やインターネットなどから、自分の必要な情報を上手に手に入れることができるでしょうか。
図書館ならば、カード目録や検索用コンピュータ・参考図書、インターネットならばYAHOO!などの検索エンジンやリンク集を利用しましょう。もし、なかなか情報を見つけることができなくて困ったときでも、図書館や博物館にはみなさんの調査を手助けする人たち(司書・学芸員)がいますから、気軽に相談してください。
(例) ・実際にいろいろな場所を歩いて取材する。 ・関係者にインタビューする。 ・学校・公共図書館に行って参考図書を調べ、関連図書を探す。 ・博物館や美術館、専門図書館に行って、調べる。 ・インターネットを使って調べる。 |
情報を見つけたら内容を抜書き・要約します。インタビューや取材をしたときは、録画・録音・写真撮影をします(必ず相手の方に許可を得るようにしましょう)。ホームページの場合は、フロッピーディスクなどに保存したり、プリントアウトしたりしましょう。
情報を見つけた場所、つまり利用した図書名や取材した日時、ホームページのアドレスなどは必ずメモをしておきましょう(「出典を記録する」と言います)。
(例) |
情報や資料を集めたら、一つ一つの内容を確認し、どのような順序でまとめるか考えましょう(「アウトラインを考える」と言います)。一般には「序論」「本論」「結論」の順にまとめます。どこでどのように内容を展開していくのか、考える必要があります。
・序論:レポートの目的(テーマを取り上げた動機、調査方法など)
・本論:レポートの内容
・結論:レポートをまとめて考えたこと、これからの課題など
項目ごとに資料を整理し、自分のレポートの目的に適したものを選び出してみましょう。この時点で不要と思われる情報・資料も、後から必要になる場合があります。集めた情報や資料は捨てずに整理しておきましょう。
アウトラインにしたがって、もう一度課題について見つめ直します。情報や資料が足りないと思ったら補いましょう。レポートは、読む人の立場にたってわかりやすくまとめることが大切です。そのために次のようなことが必要になります。
図表などを添付すると、より内容がわかりやすくなります。効果的な図表の使い方を工夫しましょう。不必要な図表を添付しても意味がありませんが、まったく図表がないレポートもわかりにくいものです。それぞれの図表には[図1][表1]などかならず番号をつけ、その出典を明記します。
(例) ・参考資料リスト |
レポートができあがったら、一度読んでみましょう。レポートの形式や文章の展開におかしな点がないか確認します。地名や人名、図表などに間違いがないか、点検します。
図表や文章などを図書やホームページから引用した場合には、必ず出典を確認しましょう。インタビューや取材をした日時、人名なども同様に確認します。
さあ、レポートは完成しましたか?
読んでみて内容が上手に伝えられていますか?
上手に情報を探し、テーマに適したものを見つけられましたか?
1-6の手順をふまえて、レポートをまとめられましたか?
自分のレポートを客観的な目で評価してみましょう。
英和辞典や動物事典のような調べる本の多くは、初めから読んでいくことはできません。そこで頼りになるのは、巻頭の「目次」や、巻末の「索引(さくいん)」です。これらを利用して調べたい語句を見つけましょう。
また、語句の解説文の最後に「→」などの記号で、ほかに参照したほうがよい項目が記してある場合もありますので、その場合はその項目も見てみましょう。その他、複数の参考図書で同じ項目を調べると、より内容の理解が深まります。
さまざまな事典を利用してテーマについての知識を知ることができたなら、次に関連する図書を読んでみましょう。
図書館の本は、日本十進分類法にしたがって並んでいます。本の背中のラベルに記されている番号(分類番号)がそれです。また、書名や著者名から本を探すことのできるカード式の目録も用意されています。
わかったことがらをノートなどに整理するとともに、利用した本の書名も忘れずにひかえておきましょう。
図書館を利用したとき、自分で資料をなかなかうまく探し出せないことがあります。そんなとき、手けをしてくれるのが図書館の先生です。図書館の先生に資料の探し方などを相談することを「レファレンス」といいます。気軽に声をかけてみましょう。
また、公共図書館でも同じように図書館員の方々が相談に乗ってくれます。
それでは実際に、どのようなときにどの参考図書を使えばいいのか、見ていきましょう。
a.全体的な大まかな内容を調べる 百科事典 | |
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五十音順、もしくは分野別にあらゆるテーマにわたって解説しています。 |
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平凡社大百科事典 (031) |
日本の代表的な百科事典。 |
日本大百科全書 (031) |
別名「ニッポニカ」。日本のことがらを調べるのに適している。 |
ブリタニカ国際大百科事典 (033) |
アメリカの百科事典を底本として翻訳し、日本人向けに解説などを補足したもの。 欧米のことがらを調べるのに適している。 |
b.特定の分野のことがらを調べる 専門事典 | |
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日本史、世界史、地理、政治、経済、哲学、倫理などの分野ごとに、その専門の事典があります。かなり高度で専門的な内容のものも多くみられます。 |
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国史大辞典 (210.03) |
最も充実した日本史辞典。歴史的事象だけでなく人物、古典、民俗、芸術などにわたって網羅している。 |
世界歴史大事典 (203) |
数少ない網羅的世界史辞典。 |
西洋史辞典(203.3) 東洋史辞典(220.03) |
単冊の辞書としては充実した辞典。 |
地理学辞典 (290) |
自然地理、人文地理の用語、地理学者などを網羅した辞典。 |
現代政治学事典 (310.3) |
現代政治用語を収録。外国語索引もある。 |
岩波経済学辞典 (330.3) |
単冊の辞書としては充実した辞典。 |
岩波哲学・思想事典 (103) |
西洋哲学だけでなく東洋思想も多く項目に取り入れた事典。 |
c.人や地名について調べる 人名辞典・地名辞典 | |
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著名な歴史上の人物の功績、地名の所在やその環境などについて調べるときに利用できます。伝記や地図帳とあわせて利用しましょう。 |
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世界伝記大事典 (280.3) |
「日本・朝鮮・中国編」と「西洋編」に分かれている。比較的やさしく書かれ、かつ詳しいという、中高生向の事典。 |
現代日本人名録98 (281) |
現代に活躍する作家、学者、政治家から芸能関係まで幅広く収録。 |
角川日本地名大辞典 (291.03) |
都道府県別に1巻にまとめ、古代から近現代までの地名を網羅的に収録する。 |
世界地名大辞典 (290.3) |
約16000の地名を収録。原綴りも併記している。 |
d.新しい情報や統計を調べる 年鑑・白書・統計集・新語辞典 | |
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年に1回、定期的に出版され、その1年間のできごとやさまざまなデータ、新しい言葉を掲載しています。新しい情報や最近のできごとを調べるときに利用します。 |
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日本国勢図会(358.1) 世界国勢図会(358.1) |
気候・人口などから産業・貿易・軍事等まで、日本・世界の各種統計をまとめたもの。 |
理科年表 (403) |
暦・気象・地学などの項目に分け、数値・統計・図表などを収録。 |
現代用語の基礎知識(810.3) 知恵蔵(810.3) imidas(810.3) |
現代社会の動きを理解するうえに役立つ新語、時事用語、外来語、略語、流行語などを、それぞれわかりやすく解説している。 |
e.新聞記事を読んでみる | |
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新聞縮刷版 (071) |
毎月1回、その月の朝刊・夕刊をまとめて1冊の本にしたものです。 本校では朝日・毎日の2紙の縮刷版をそろえています(昭和36年~)。 |
f.その他 | |
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歴史上の事件の年月日などを調べる年表、写真やイラストなどを集めた図鑑、そのテーマに関係する本にはどんなものがあるかを調べる目録・書誌などがあります。 |
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日本文化総合年表 (210.03) |
「政治・社会」「学術・宗教」「美術・芸能」などを項目とした年表。 |
世界史大年表 (203) |
「政治」「社会」「探検・開拓」「経済」「科学」などを項目とした年表。 |
日本分県地図地名総覧 (291.038) |
都道府県別の地図に「地名総覧」「公共機関一覧」を加えたもの。 |
ブリタニカ国際地図 (290.38) |
欧米中心の編集だが、原語綴りのアルファベット索引が充実。 |
世界名著大事典 (028) |
哲学思想から社会科学・自然科学や文学まで、世界の様々な著作を解説し、その収録図書を紹介する。 |
サーチエンジンを利用して検索すると、その分野の多数のホームページにつながる「リンク集」を見つけることがあります。これを利用すると多数のホームページを見て、比較・検討して、自分の調べたい内容に合ったものを選ぶことができるでしょう。
こうして目的のホームページを見つけることができたなら、それを上手に活用しよう。特にさまざまな統計や,政府や地方公共団体の資料は、ホームページから手に入れるだけでも充実した資料となることでしょう。しかし、個人のホームページなどではやや信用性の薄い情報もありますので注意する必要があります。
インタビューその他相談に応じてくれる人は、仕事中のお忙しい中、時間を割いて対応していただいています。ちゃんと自分で調べないで、何度も電話したり、むやみに長時間拘束したりすることは、たいへん迷惑をかけることになります。そのようなことは決してしないようにしてください。
・相手に事前に連絡し、訪問の日時を決定する。
・自分の名前などをきちんと相手に伝えること。
・取材、相談の目的を相手に説明すること。例えば「学校の研究発表で○○について調べているのですが」など。
・聞きたい内容を相手に分かりやすく伝えること。録音などしたい場合は相手の方にきちんと確認をしてからにしてください。