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「うれしいときだけが “きみ” ではありませんよ。」日野原重明 ~創立七十四周年記念式典挙行~

2018年10月19日


 
いつしかすっかり秋も深まり、〈学びの道〉の欅も次第に色づきはじめました。
積もる歴史も七十四年。
落葉のごとく、その一枚一枚が大切な学園の歴史として積み重なり今に至りました。
 
今日は、授業を午前中で切り上げ、明日の記念日を前に、全校生徒・全教職員揃って〈創立記念式典〉に臨みました。 

 
 「創立記念日は、建学の精神に立ち返るとき。

  そして、この学園の歩みに携わった全ての方々への感謝を忘れず、
  創立時に制定された三つの箴言に思いを馳せねばなりません。」 (学校長 式辞 より)
 
   ※ 『学園三箴』 ・ 『実践目標』  →  こちら
 
 「今、時代は急速に変化を遂げています。
  みずから変わろうとする意志を発揮しつつ
  同時に人と人とのネットワークを大切にすることが肝要です。
」  (同窓会「久我山会」会長 祝辞 より)
 
  
敗色濃厚なこの国の、荒れた久我山台上に産声を上げた学園。艱難辛苦の草創期を経て幾年月。今や三万六千を超える多くの卒業生とそれを支えたその時々の教職員の方々のお蔭をもって、今日のこのよき日をまたあらたな校史に刻むことができました。
 
なお、この式典に先立ち、午前中には学校にほど近く、これまで本校に奉職されていた故人の眠る「学園の墓」にて生徒会の代表生徒も参列して「慰霊法要」が営まれました。
 
 
 
その「学園の墓」が安置されている烏山・西蓮寺のご住職が掲げた今月の「ことば こころのはな」
それは、昨年の夏、享年百七歳で他界された日野原重明先生が、生前いじめが原因で不登校を続けていた少年俳人の小林凛君との九十歳の歳の差を越えて続けられた文通の中から、あるとき先生が凛君に送った一言、「うれしいときだけが “きみ” ではありませんよ。」を取り上げていました。
創立記念日に因み、ご住職のお言葉の抜粋をご紹介いたします。
 
 
 
 あれだけ暑かった夏が過ぎ、秋の気配が漂います。いつの間にかセミの鳴き声も消えました。着る物に悩みますね。アイスコーヒーよりもホットコーヒーが欲しくなりました。日の暮れる時間が早くなりました。夏の夕暮れと違って、なぜ秋の夕暮れは淋しいんだろう?窓の外では鈴虫が鳴いています。
 暑さに文句を言っていた私は、じきに寒さに文句を言い始めることでしょう。夏は暑くて冬は寒い。この当たり前の現実を受け入れるということが、なかなか難しいものです。
  (中略)
 日野原先生のメッセージ「うれしいときだけが “きみ” ではありませんよ」。うれしいときはもちろんだけど、かなしいときも、つらいときも、いろいろなときもすべてひっくるめて、あなた自身ですよ、と聞こえてきます。
  (中略)
 つらい思いをしている人に、どのような言葉をかけられるでしょう?
 「今はつらくても、ここを乗り越えればいいことがあるよ」というような励ましの言葉もありますが、難しいですね。そんな励ましの言葉に、「やまない雨はないからね」「明けない夜はないよ」「冬を越えれば春の訪れがあるよ」などがあります。
 私自身、20代の頃は、そんな言葉に励まされもしました。「そうだなあ。いつまでも雨が降り続くわけはないし、今はつらくても、いつか雨がやむときがくる!」と思えました。
 年を重ね、「それはちょっと違うなあ」と考えるようになりました。雨が上がって陽光が射しても、またいつか雨は降ります。夜が明けて明るくなっても、夜はまた訪れます。冬の寒さに耐えて暖かい春を迎えても、夏が来て、秋が来て、そしてまた冬を迎えます。
 雨の降るときも、闇夜の晩も、寒さに凍えそうな冬も、それらもひっくるめて “わたし”です。日野原先生流に言うならば、「晴れているときだけが “きみ” ではありませんよ」でしょうか。
 思うに、「やまない雨はないからね」と言う場合、雨を起点にしています。けれど、晴れの日があったからこそ雨の日を迎えているのかもしれません。
 人は、出会いの縁を重ねて生きています。けれど、出会いには別れが付きものです。あなたとの出会いという人生最大のうれしいときをもらいました。けれど、それゆえに別れの淋しさに怯え、別れのつらさに涙せねばなりません。それも含めての ”わたし” です。雨の背景には必ず晴れの日があります。その晴れの日を知ることができるのは、雨の日があるからです。
 この当たり前の現実を受け入れるということが、なかなか難しいものです。
 

   〜 この日、キャンパス内を巡ってみると…
     記念樹の「山茶花」に、初花が一輪ありました。
 

     校章の「三笹」に込められた創立者の
     「霜雪に耐え懸命に生き抜く笹の葉のように」
     という思いに通じるその花言葉は、
     「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」 〜

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