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「考える葦」として @ 平成29年度 高校1年《弁論大会》

2018年2月19日


  
各クラスの予選を通過した代表、13名の弁士が個性豊かに持論を展開した高校1年『弁論大会』
 
今年も、そのテーマは、身近な出来事から、政治、歴史、文化、哲学に至るまで、実に多彩な内容で聴く者をうならせる内容ばかりでした。

  
  『人間は一本の葦に過ぎず自然の中で最もか弱いものである。
  だがそれは、考える葦である。』   (パスカル)
 
 
せわしく追い立てられるように過ぎゆく日々にあって、
こうして時に歩みを止めてじっくりとものを「考える」ことは、
より充実した生活をおくる上で大切なこころがけであることに相違ありません。
 
 
 
 ※ 以下、発表順にその要旨に所感を添えて…。
 
  
 1 男子1組 S.A グローバル人材とは何か
 
グローバル人材の要素とはいったいどのようなものだろうか。もちろん高い語学力とともに、自国の文化を理解した上でそれを発信していくことは言わずもがなのことだが。ゲーテは言う、「決して遠くのものを探すな」と。私たちは、毎日毎日、目の前の身近なことからはじめて、なすべきことを実践していくことが大切なのだ。加えて新渡戸稲造の『武士道』にある「義」と「信」を重んじることもまた不可欠なり。
  
(所感)「まず隗より始めよ」とも。先人はみな、気の遠くなるような開拓も遠大な冒険も、最初の一歩を踏み出すことからはじめている。
 
 
 2 男子9組 D.E 生きること
 
それまでずっと熱中して取り組んできたことがあった。しかし、母が重い病にかかったことを通じて自分の中でいやが上にも冷めていくことに。その後、身がボロボロになっても諦めずに闘う格闘技の選手や、歴史上の特攻隊員の存在に心惹かれていく。さらには、その戦争で生き残り、学歴などに頼らず我が道を切り拓いた祖父の生き様にふれた時、今ここに私があることにあらためて感謝し、もっともっと強い心を養っていきたいと切に思うのだ。
 
(所感)まずは、そんな大切な教えを授けてくださっったお母様の存在に感謝したい。さらに君に繋がる生を授けてくださったお祖父様にも。
 
 
 3 【優秀賞】 女子3組 H.M 自己見解と見解の相違
 
「150センチメートル」と聞いて皆さんは何を思い描くだろうか。それは何かの数値?それとも物の性質?人はそれぞれ、自分のそれまでの数え切れないほどのたくさんの経験や知識を総動員して「自分」自身の「見解」を生み出す。母は私にとって「はじめての友達」だったぬいぐるみを「汚いもの」として捨ててしまったことがある。差別意識も善悪も全てはこうした見解の相違が生み出すもの。まずは「違い」を認め合うことからはじめたい。
 
(所感)あらためて「見解」の相違が招く人間関係のすれ違いを思う。私たちは、汚れた「ぬいぐるみ」をまず見つめ直すことから始めねばならない。
 
 
 4 女子4組 H.N 色鮮やかな世界に向けて
 
十人十色、百人百様とも。その価値が認められた世界を実現するためにはどうしたものか。中学生の時に出会った障害者の温もりと強さ。そして、多様性を認めるパラリンピックの精神にふれた体験は大きい。しかし、ヘイトスピーチがはびこり障害者施設の殺傷事件などもおこっている現実。アメリカがスローガンとする「I’m OK,You’re OK」は、常識に縛られた中で生じる個性や価値観の衝突から脱皮を図る一策となるに相違ない。
 
(所感)昨日のインドネシアの中高生たちが書道の時間に取り組んだのは「和」の一文字。その意味を問われて本校のバディが「ハーモニー」と答えていたのが印象的だった。
 
 
 5 女子2組 N.K 「平等」と「区別」
 
「女の後だと汚いと思って…」こんな川端康成の小説の一節に衝撃を受けた。さらにヒンズー教の「チャウパティ慣習」にもまた、女性は汚れた存在との考え方を垣間見ることができる。時代が流れ、多くの人の努力によって女性の地位は確かに向上したように見える。しかし、日本はG7の中でも平等の度合いは、いまだに最下位。そもそも男女には特性の違いあり。ゆえに区別されるべきなのだ。あくまでそれぞれの特性の違いを理解した上で。
 
(所感)このことは男女の違いにとどまらないだろう。理想の区別は決して差別に通じるものではなく、より良い相互理解に繋がるものであることを願って。
 
 
 6 【優秀賞】 男子7組 N.E あらゆるものに両面がある
 
決して人は平等ではない。それにもかかわらず、ひとたび不平等を感じるときまって不平不満を口にする。しかし、孤独がかえって人を強くするように、人には両面が備わっている。差別されるように見える面も見方を変えれば尊敬に値することも。それだからこそ人間味があるとはいえまいか。どんなに醜く嫌いな面が目立つ人であったとしても、尊敬できるところを探し理解しようと努めたいものである。
 
(所感)人の面白みとはこうした両面性ゆえに滲み出て来るものなのかもしれない。そんな意外な一面をも受け止める寛容な心を大切にしたい。
 
 
 7 男子5組 S.Y 心の成長期とは
 
人の心は皮肉なことに、苦難に直面し挫折してはじめて成長するものか。かつて、サッカーチームにおいて海外遠征のメンバーから外れた苦い経験をもつ。あれほど好きだったサッカーも嫌になり自暴自棄に。しかし、思いがけず急遽参加できるという夢のような展開に。あのキングカズはいう、「人生辛い時にどう楽しむか」と。辛いことを乗り越えた時、見える景色も自ずと変わってくる。だから、楽な方へは流れまい。
 
(所感)あえて火の中へ身を投ずることはなかなかできることではない。しかし、想定外の事態に見舞われることは誰にもある。そこが勝負どころなのだろう。
 
 
 8 男子8組 D.K 環境問題について
 
環境問題という言葉をよく聞く。地球温暖化も大きな問題だが、とりわけ身近なゴミの処理についてはどう対処すべきなのか。確かにリサイクルの率は大幅に上昇したものの、ゴミは減るどころかかえって3倍に。年間一人当たり320kgもゴミを出してしまっている現状がある。欧米並みに「4R」を徹底しなるべくゴミを出さない工が求められる。実態を写真に撮り本にして訴えるということもしてみたい。常にそうした当事者意識を忘れまい。
 
(所感)理想を口にすることは誰にでもできる。しかし、それに向かって具体的にアクションを起こすことができるか、そこにその人の真価が問われている。
 
 

 
 9 【最優秀賞】 男子6組 I.A イッキフードバンク

 
聞けば農水省発表による食品廃棄物は実に東京ドーム半分に相当するとのこと。一方、国連の関係機関によれば、世界の廃棄物量は飢餓で苦しむ人たちに与えられるべき実に2年分に匹敵するらしい。いつも、母からは「出されたものは残さず食べなさい」と教えられてきた。とはいえ、食料自給率が昭和40年代から比べ半減している現状にあって、アメリカ発祥のフードバンク運動を日本でも根付かせたい。命をつなぐ糧となる食料を大切にするためにも北海道にそのNPO法人を立てることが私の夢である。
 
(所感)先日、切り替えのタイミングにコンビニにいた。期限切れとされた食品がやむなく棚から降ろされ大きなビニール袋に集められていくのを。何もできない自分がそこにいた。
 
 
10 【優秀賞】 男子2組 T.S 人生最期の料理
 
あなたは死ぬという今際に、どんな料理を求めるだろうか。オフクロの味?それとも高級料理店のそれ?いずれも共通するのは、その人にとって忘れることのできない記憶に刻印された味であるということ。私たちは、実に今まで17,000を超える食事をして今にいたっている。その中でも、確かに母の味は何よりの愛情表現だと今更ながら痛感する。「キリンの舌」は一度食べた味を忘れないという。その時、一緒に過ごした時間とともに、大切な思い出として。
 
(所感)そのものの味にスパイスされているものとはなんなのか。愛情も然り、思い出も然り、人はその人と共にした時間という味付けに酔いしれる。
 
 
11 女子1組 A.N 夢を叶える道のり
 
「あきらめなければ夢は叶う」という。幼い頃はこのフレーズを好きになれなかった。本当に叶うのか?凡人には無理なのでは?誰よりも努力し大好きなバスケットボールに取り組む自慢の友人が教えてくれたことがある。運命のいたずらか、そんな彼女が二度とコートを走れなくなる体になっても、悔しさを乗り越えて「やり続けることはできる」とあきらめない姿勢を示してくれた。そう、「あきらめなければ、夢は叶う」のではなく、「あきらめなければ、道は拓ける」ものなのだ。
 
(所感)その「道」が拓かれた先にはまた新たな「夢」への入口があるのだろう。その容赦ない繰り返しにもあきらめることなく挑み続けたい。
 
 
12 男子4組 Y.Y 矛盾する政府
 
サッカー人気はいよいよ高まりを見せている。ゲームの有料放送や、スタジアムでの観客動員、グッズの販売等、その経済効果は計り知れないものがある。しかし、そのスタジアム建設に対して、政府の対応は今ひとつ乗り気ではない。一方、それが野球となると話は別だ。今や、サッカークラブの存在が、地方創生に大きく寄与していることは否定できない。なぜなら、騒音問題を見てもわかる通り、地域との信頼関係も密だからだ。
 
(所感)一極集中の状況を打開するのにスポーツの果たす役割は大きい。このスポーツが様々なジャンルにおいて「文化」として昇華していくことがなにより望まれるところだ。
 
 
13 男子3組 T.T 情報との付き合い方
 
相撲界の事件に湧いた昨年末。マスコミも視聴率争いからか、他の必要なニュースを追いやっての報道ぶりだった。先般、お笑い芸人が様々な社会問題をネタで取り扱ったことが話題となった。賛否両論渦巻く中、当事者からは「多くの人に問題意識を持って欲しかった」とのコメントが寄せられた。ニュースも今やネットから抽出できる時代にあるが、やはりテレビの影響は大きい。そうした中、自分の問題として捉え、報道の裏に隠されたものに自問するよう心がけたい。
 
(所感)社会の動きに対して敏感であること、その上で、報道されることを鵜呑みにしないこと。そのためには、真贋を見極める目を養わねばならない。 
 

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