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「人形振り」に魅入る…『神霊矢口渡』@高校2年歌舞伎教室 国立劇場

2019年6月11日


 

 
梅雨の中休み、高校2年生は古典芸能にふれる貴重な一日となりました。
  
今年の国立劇場「6月歌舞伎鑑賞教室」の演目は、福内鬼外作『神霊矢口渡』
 
恋する人のためになら命をも厭わぬ一人の娘を描いた悲恋物語ともいえる作品です。
この作者福内鬼外(福は~内!、鬼は~外!)とは、江戸時代にあって革新的ゆえに異色ともされた自然科学者、本名はかの平賀源内のこと。絵皿を使って斬新な世界地図を表したことでも有名です。
 
ところで、この作品の見せ場はなんといってもラストのお舟が息も絶え絶えにそれでも恋心を寄せる義峰(よしみね)を救おうとまさに懸命に太鼓を叩くシーン。加えて、クライマックスの神霊新田義興(よしおき)の怨念の矢が頓兵衛(とんべえ)に放たれるシーン。いずれも迫真の演技で目が釘付けとなりました。
 
ところで、恋路にあって、いつの時代も男というものは愚かでございます。(笑)
強欲な父、頓兵衛をその代表として、お舟の言葉をそのままに結ばれることを信じてしまう六蔵もまたしかり。そして、義峰にしてからも、いわゆるお舟の「くどき」に一瞬にしてコロリといってしまうあたり、なんとも、わざわざ身の内に鬼を招き入れるような愚かさでございます。(嗚呼、鬼は~内!)
 
それにくらべ、女性の一途さは、その強さゆえに少々怖いぐらいでございます。
わが恋心にしたがおうとするとき、父親をも踏み越えさらにはみずからの命をもかえりみずして身を投ずるお舟の姿は、その典型ともいうべきものでございましょう。(嗚呼、鬼は・・・!(笑))
 
そんなこんなで、終演後は「お舟」さんに逢いたくて(笑)、一路、舞台となった「矢口の渡し」へ。
今では、ひっそりと多摩川のほとりにその跡を示す標識が立っているだけですが…。
 
 
前方の「多摩川大橋」が現在の「矢口」にあたります。
河口からはちょうど10kmぐらいになりましょうか。
 

 
それは、ひっそりと立っていました。
現在の流れは、相当に南側にずれてしまっています。
なにしろ、もともと神奈川県側に位置していたはずの「下丸子」が今は東京都側の街になってしまっているほどですから・・・。
 
そこで、せっかくですので、当時の「渡し」があったとされる「新田神社」にもお参りしてきました。
 


 
そして、さらに…
この作品がもとになった伝説上の人物、頓兵衛の悔い改めの場、「頓兵衛地蔵尊」にも立ち寄りました。
 


 
ふたたび多摩川の堤にもどってみれば、小糠雨の舞うなか、涼しげな風が川面を渡り、地元の方々が散歩やジョギングする姿がありました。

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